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上平 明弘; 鵜飼 重治
JNC TN9400 2000-035, 164 Pages, 2000/03
高強度フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS鋼:0.12C-11Cr-0.5Mo-2W-0.2V-0.05Nb)は、サイクル機構が高速炉の次期炉心材料候補として開発した鋼種であり、1992年の材料強度基準(暫定案)の策定時に延性脆性遷移温度(DBTT)が評価されているが、衝撃特性において重要な特性の1つである寸法依存性、および上部棚吸収エネルギー(USE)の評価が行われていないといった課題がある。本報告では、PNC-FMS鋼および海外材のデータを用いて、USE,DBTTそれぞれにおける寸法依存性、熱時効効果、照射効果などを評価し、PNC-FMS鋼における製造時のUSEとDBTTの設計値、および熱時効効果と照射効果それぞれの設計式を策定した。得られた主な結果は次の通りである。(1)USEの寸法依存性は「(Bb)のn乗」(B:試験片の幅、b:試験片のリガメントサイズ)を用いて「USE=m(Bb)のn乗」(m,nは定数)の関係として適切に評価可能であること、およびPNC-FMS鋼の場合「n=1.4」となることを明らかにした。「(Bb)のn乗」における乗数「n」は、フルサイズ試験片のUSE(J)と関連付けられ、「n=1.3810のマイナス3乗USE+1.20」の関係式が得られた。(2)DBTTの寸法依存性は「BKt」(Kt:弾性応力集中係数)を用いて適切に評価可能であり、「DBTT=p(log10BKt)+q」(p,qは定数)の関係にあることを明らかにした。PNC-FMS鋼の場合、DBTT=119(log10BKt)-160であった。(3)製造時DBTTの設計値、および熱時効効果と照射効果それぞれの設計式を用いて、照射後のDBTTを推定した結果、350650の照射温度範囲でサブサイズ試験片(幅3mm高さ10mm)のDBTTは180以下であった。
Satmoko, A.*; 浅山 泰
JNC TN9400 99-035, 37 Pages, 1999/04
本研究ではFortranを用いた解析により、高速炉条件を模擬して550のナトリウム中で行われた単軸クリープ試験結果をシミュレートし、浸炭が316FRのクリープ挙動に及ぼす影響を評価した。解析は試験と同様に、2段階で実施した。第1段階として、クリープ試験の直前に負荷される降伏応力よりも大きい荷重あるいは応力を弾塑性挙動で模擬した。第2段階では負荷荷重が一定に保たれクリープが生じる。断面減少により応力が増加するため、塑性成分も考慮する必要がある。これを、弾塑性クリープ挙動を用いて模擬した。時間の経過とともに浸炭が生じるが、これは経験的式により評価した。浸炭により、降伏応力の増加、クリープひずみ速度の減少およびクリープ破断強度の増加が生じる。このようにして作成したモデルにより、ナトリウム中クリープ試験のシミュレーションを行うことができる。表層近傍の材料では浸炭が生じると、材料特性が変化し、応力分布が一様でなくなる。これにより応力集中が生じ、損傷を受ける。損傷クライテリアを導入することにより、き裂発生およびき裂進展の評価が可能となる。高応力では、クリープ強度ではなく引張り強さが破損クライテリアとなる。しかし、低応力では、クリープ強度が破損クライテリアとなる。この結果、高応力では、ナトリウム中クリープ破断時間は大気中よりも短い予測となるが、26kgf/mm2乗以下の応力では、ナトリウム中クリープ破断時間は大気中と等しいかやや長い予測となる。定量的には、浸炭の影響は、550では大きくない。この結果は試験と良く一致した。
青木 昌典; 吉田 英一; 和田 雄作
PNC TN9410 94-262, 120 Pages, 1994/09
FBR蒸気発生器用材料として適用されるMOD.9CR-1MO 鋼、 2 1/4CR-1MO鋼およびSUS321に関して、ナトリウム-水反応等を想定した高温バースト特性の解析評価の基礎データとして反映するため、最高1,200 までの超高温領域における引張試験を実施した。主要な結果は次の通りである。(1) 2 1/4CR-1MO鋼、SUS321および MOD.9CR-1MO鋼伝熱管材の1200における引張強さは、各々約 2.5、2および 2.5kg/MM2であった。(2)引張強度におよぼす試験片の加熱昇温速度(550/MIN) および加熱保持時間(10 30MIN)の影響は、各鋼種とも本試験の範囲内では顕著に認められなかった。(3)伝熱管内の蒸気圧力を150KG/CM2 と想定した場合、MOD.9CR-1MO 鋼、2 1/4CR-1MO鋼およびSUS321の破断の想定温度は、本試験の範囲内では各々約 960、860および1040程度と考えられた。本試験の結果は、今後の蒸気発生器伝熱管のナトリウム-水反応を考慮した高温ラプチャー評価のための基礎的データとして反映される。
青木 昌典; 加藤 章一*; 小峰 龍司; 吉田 英一; 和田 雄作
PNC TN9410 94-261, 143 Pages, 1994/06
FBR大型炉の一体貫流型蒸気発生材料として適用が予定されているMOD.9CR-1MO 鋼の伝熱管相当板材(12MMT) ならびに伝熱管材について、高温引張試験、大気中クリープおよびリラクセーション試験を実施し、基本材料特性を把握した。また、9CR-2MO 鋼を用いて同様な試験を行い、MOD.9CR-1MO 鋼との比較を行った。得られた結果を要約すると以下の通りである。1.引張特性(1)MOD.9CR-1MO 鋼の伝熱管相当板材および伝熱管材の引張強さならびに0.2 %耐力は、材料強度基準暫定値のSu、Syを充分満足していた。ただし、Su値に関しては見直しの可能性が残っていることから、今後総合的な再評価を行う必要がある。(2)MOD.9CR-1MO 鋼の伝熱管相当板材及び伝熱管材の引張強さは、9CR-2MO 鋼の平均傾向より高い値を示した。(3)MOD.9-1MO 鋼の伝熱管相当板材と伝熱管材との比較では、引張強さ、0.2 %耐力はほぼ同じであり、素材による差異は認められなかった。2.クリープ特性(1)MOD.9CR-1MO 鋼の伝熱管相当板材および伝熱管材のクリープ破断強度は、 500600 での材料強度基準暫定値の設計クリープ破断応力強さSR と比較し、全体的に大きく上回っていた。これは特に長時間側で顕著である。(2)定常クリープ速度と破断時間との関係において本試験の結果は、暫定的に定められた材料強度基準で示されている定常クリープひずみ速度M と比較的良い一致を示した。(3)MOD.9C-MO 鋼のクリープ破断強度は板材および伝熱管材とも9CR-2MO 鋼よりも高い値を示し、MOD.9-1MO 鋼が優れたクリープ特性を有していることが明らかになった。3.リラクセーション特性(1)MOD.9CR-1MO 鋼のひずみ 0.1 0.5%の条件での応力は初期時から約50時間でほぼ緩和し、それ以降の応力緩和量は小さいものであった。これらの応力緩和量は高温、高ひずみ側ほど増大した。一方9CR-2MO 鋼は200 時間経過後も徐々に応力緩和が進展しておりM--.9C--1M- 鋼と異なった挙動を示した。(2)本試験範囲におけるリラクセーション挙動は、概ね従来のクリープひずみ式で記述できることが確認できた。本試験の結果は、今後の材料強度基準暫定値の見直しや強度評価法の高
下山 一仁; 浜田 広次; 田辺 裕美; 宇佐美 正行
PNC TN9410 93-212, 134 Pages, 1993/09
高速増殖炉の実証炉において、蒸気発生器(SG)を原型炉の分離型から一体貫流型に合理化することに伴い、新しい伝熱管材であるMod.9Cr-1Mo鋼の破損伝播特性を把握するため、大リーク・ナトリウム-水反応試験装置(SWAT-1)を用いて、中リーク領域(10g/s数100g/s)でのナトリウム-水反応試験を実施した。試験によって以下に示すことが明らかになった。(1)Mod.9Cr-1Mo鋼の中リーク領域での耐ウェステージ性は、2・1/4Cr-1Mo鋼とオーステナイト系ステンレス鋼SUS321の中間に位置しており、ウェステージ率は2・1/4Cr-1Mo鋼の約1/2倍である。また、2・1/4Cr-1Mo鋼のウェステージ率とL/D(L:ノズル・ターゲット間距離,D:注水ノズル孔径)の関係式を基準にして、Mod.9Cr-1Mo鋼の比例定数を求めることによって実験整理式を得た。(2)ターゲット伝熱管のウェステージ形状はトロイダル型が多く、2次破損孔径の最大値は同条件の2・1/4Cr-1Mo鋼に比べて1/2倍以下である。同じように、Mod.9Cr-1Mo鋼の注水ノズル孔径と2次破損孔径の関係式の定数を得た。これらの実験整理式とその定数を破損伝番解析コードLEAPに反映することにより、同コードをMod.9Cr-1Mo鋼製一体貫流型SGのナトリウム-水反応事象評価に適用できるよう整備を図る。
川崎 亮*; 渡辺 龍三*
PNC TJ9601 93-004, 68 Pages, 1993/03
高速増殖炉において用いられている燃料被覆管は、その環境の苛酷さよりさまざまな条件が課せられるため、現在用いられているSUS316材では比較的短期間の稼動で交換しなければならない。そこで本研究では長寿命の燃料被覆管を作製するために、スラリーディップ法を用いた傾斜機能材料の考え方を導入して、より耐食性、耐熱性に優れた材料を作ることを目的としている。基板は、SUS304粉末を金型およびCIP成形した円柱状の圧粉体とした。金属粉末をエタノール中に分散させたスラリー内に基板を浸漬し、引上げ、乾燥させ、CIP成形した後、HIP焼結した。傾斜材は組成の異なるスラリーに、同様の手順で順次浸して積層した後、HIP焼結した。焼結体については組織観察、SEM-EDX解析、EPMA解析、熱応力解析などを行い、さらに熱的安定性評価も試みた。Mo粉末の粒径および体積濃度を変化させてスラリーを調整し、均一なスラリー塗布層を形成するための条件を最適化した。Moが1層のみの時に比べ、傾斜組成制御した方が接合状態も良くそれは有限要素法による熱応力解析結果からも明らかである。SEM-EDX、EPMA解析から組成の傾斜および酸化物などの存在が確認された。熱的安定性については実験前後で大きな変化は見られなかった。以上の結果から、円筒状傾斜組成制御層の形成にスラリーディップ法が有効であるとわかった。
浅山 泰; 長谷部 慎一; 一宮 正和
PNC TN9410 92-148, 65 Pages, 1992/02
Mod.9Cr-1Mo鋼は高速実証炉の蒸気発生器の最有力候補材料として実用化が進められており,その重要課題の一つとして溶接継手強度評価法の開発が行われている。本溶接継手は,溶接時の熱影響により母材軟化部(以下「熱影響部」という)が生じるため,同部の挙動・強度が溶接継手全体の強度に影響を及ぼす可能性がある。このため,熱影響部が軟化せず,同部が溶接継手の強度に及ぼす影響を考慮する必要のなかったSUS304溶接継手の強度評価法をそのまま適用することはできない。本報告では,Mod.9Cr-1Mo鋼溶接継手の疲労強度評価法を開発することを目的とし,同継手のひずみ集中のメカニズムを,母材,熱影響部,溶接金属の動的応力ひずみ関係及び疲労寿命のみに基づくモデルを用いて,FEM解析により解明し,疲労破損との対応を明らかにした。この結果,寿命初期においては熱影響部にひずみ集中が生じるが,繰返しひずみ負荷に伴い,母材が軟化するのに対し,熱影響部はほとんど軟化せず,半寿命付近で両者の硬さがほぼ等しくなると考えられるため,半寿命付近以降ではもはや熱影響部にはひずみ集中は生じず,母材においてひずみ集中が生じることが明らかになった。さらに,このひずみ集中挙動に基づき本鋼溶接継手の累積疲労損傷を評価すると,本解析を行った条件下ではすべての場合において熱影響部の疲労損傷は継手の中で最大とはならず,熱影響部で破損は生じないことが明らかとなった。疲労破損は弾性域近傍以上のひずみ範囲ではひずみ集中挙動に支配され母材で生じ,弾性域近傍以下のひずみ範囲では疲労強度に支配され溶接金属で生じる可能性があることが明らかとなった。この結果は,疲労試験結果と一致した。本検討により,FEM解析に基づいて本溶接継手の疲労強度を評価することが可能であることが明らかとなった。この結果を応用することにより,実際の構造物の溶接継手の疲労強度も,FEM解析により合理的に評価できる。
青木 昌典; 加藤 章一; 佐藤 勝美*; 鈴木 高一*; 小林 裕勝*; 吉田 英一; 和田 雄作
PNC TN9450 91-010, 259 Pages, 1991/10
本報告は,高温構造材料設計 材料強度基準および高温強度特性評価法の高度化に供することを目的に,FBR蒸気発生器材料として適用が予定されている。Mod.9Cr-1Mo鋼について,材料開発室の研究開発計画に基づいた試験で取得したクリープ特性データをまとめたものである。今回報告する試験内容は, (1)材 料:Mod.9Cr-1Mo鋼(母材) 板 材 7鋼種(F2,F6,F7,F9,F10,NSC1,NCS2) 鍛鋼品 8鋼種(F4,F5,F8,F11,VIM,F550) 管 材 1鋼種(F3) (2)試験温度:450650度C (3)試験方法:JIS Z 2271「金属材料の引張クリープ試験方法」,ならびにJIS Z 2272「金属材料引張クリープ破断試験方法」およびPNC N241 79-32「FBR金属材料試験実施要領書」に準拠 (4)試験環境:大気中及びナトリウム中 (5)データ点数:314点 なお,材料特性データは,「FBR構造材料データ処理システム SMATのデータ様式に従い作成したものである。
小峰 龍司; 平川 康; 古川 智弘; 川島 成一*; 小林 秀明*; 高森 裕二*; 石上 勝男*
PNC TN9450 91-004, 71 Pages, 1991/07
本報告書は、高温構造材料設計 材料強度基準および高温強度特性評価の高強度化に供することを目的に、FBR大型炉用蒸気発生器材料として適用が予定されているMOD,9CR-1MO網について、材料開発室の研究開発計画に基づいた試験で収得した大気中およびナトリウム中低サイクル疲労特性データをまとめたものである。今回報告する試験内容は、1材料:MOD,9CR-1MO網 応力除去焼鈍処理(SR)材1伝熱管相当板F2ヒート(SR)1t1000MM1000MM、2鍛網品F4ヒート(SR)250t1000MM1000MM、3板F6ヒート(SR)25t1000MM100MM1000MM、2試験環境:大気中およびナトリウム中3試験温度:450、500、550、600、650、4ひずみ速度:0.1%/SEC、5ひずみ範囲:0.38%1.86%、6データ点数:83点、なお、材料特性データは、「FBR構造材料データ処理システムSMAT」のデータ様式に従い作成したものである。
青木 昌典*
PNC TN9410 90-122, 58 Pages, 1990/06
次期大型炉の蒸気発生器管板用材料として有望視されている高クロムモリブデン鋼極厚鍛鋼品を試作し、その強度特性とこれにおよぼす試料採取位置および熱時効の影響を確認するために、受入材と時効材の室温および高温引張試験を実施した。供試材はMod.9Cr-1Mo鋼(F4,F8ヒート),9Cr-2Mo鋼(H6ヒート)および9Cr-1Mo-Nb-V鋼(G3ヒート)の3種類4ヒートである。熱時効条件は500,550で最長3000時間とした。得られた結果は以下の通りである。(1) 受け入れ材の引張特性を比較すると、Mod.9Cr-1Mo鋼と9Cr-1Mo-Nb-V鋼はほぼ同等の強度を示した。Mod.9Cr-1Mo鋼の引張強度にはヒート間の差異がみられた。(2) いずれの鋼種も厚さ方向(Z方向)の引張強度は、主鍛造方向(L方向)および主鍛造方向と直角方向(C方向)のそれと比較すると低くなる傾向が認められたが、その程度は、小さなものであった。これ以外では、試料採取位置による引張特性への有意な差異は認められなかった。(3) 熱時効材のMod.9Cr-1Mo鋼(F4)および9Cr-1Mo-Nb-V鋼(G3)の引張強度は多少バラツキはあるものの受け入れ材の強度とほぼ同等であった。9Cr-2Mo鋼の引張強度は熱時効の影響によって受け入れ材よりも若干低い値となった。(4) 鍛鋼品の引張強度は、鋼板および伝熱管のそれと比較すると全般的に低めの値であるが、材料強度基準(暫定値)の設計降伏点Syおよび設計引張強さSuを満足していた。ただし、Mod.9Cr-1Mo鋼F8ヒートの400以下および9Cr-2Mo鋼の熱時効材の一部に暫定値を若干下回るものが見られた。これらの成果は、Mod.9Cr-1Mo鍛鋼品の改良に反映した。
小峰 龍司*; 平野 正敦*; 小圷 亨; 大西 嘉彦*; 二瓶 勲*
PNC TN9410 89-148, 158 Pages, 1989/10
高速原型炉「もんじゅ」における構造材料に及ぼすナトリウム環境効果評価法の妥当性検証並びに大型炉計へ向けての評価法の高度化のためのデータ取得を目的として、「もんじゅ」一次、二次系を模擬した2つのナトリウムループ中に、SUS304とSUS316及びSUS304と2 1/4CR1MO鋼(NT)をそれぞれ400600で10,000時間浸漬した。また比較のため不活性ガス中で同一時間の熱時効効果を与え、その上で同一温度でナトウム中疲労試験を実施した。得られた結果を以下に示す。ナトリウム浸漬材と熱時効材の疲労寿命は、各鋼種とも差は認められず、受け入れ材の疲労寿命とほぼ同等であることが認められた。SUS304、SUS316のナトリウム浸漬材のナトリウム中疲労試験後の試験片表面で約0.2Wt%程度の浸炭を示した。一方21/4Cr-1Mo鋼では、500で若干脱炭傾向を示した。しかし、疲労寿命に及ぼす影響は小さかった。比較のために実施したナトリウム浸漬材及び熱時効材の大気中試験の結果から、受け入れ材の大気中疲労と差はなく、ほぼ同等の寿命を有していた。これらから疲労寿命は試験片の履歴よりも、疲労試験雰囲気の影響が顕著であることがわかった。
瀬下 一郎; 鵜飼 重治; 野村 茂雄; 鹿倉 栄
PNC TN9410 89-122, 47 Pages, 1989/08
燃料要素は通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時において、被覆管の健全性が確保されなければならない。このうち冷却能力低下型事象においては、内圧による被覆管のクリープ破損を防止する観点から、「もんじゅ」では被覆管最高温度を830以下に制限している。本評価では、「もんじゅ」に採用される55年度試作20%CW SUS316鋼(改良SUS316鋼)について最近までに得られている急速加熱試験結果を用いて、Larson-Miller Parameter Life Fraction法による破損予測手法を適用することにより、より合理的な被覆管制限温度を設定した。本手法は異なる温度上昇率のデータを統一的に評価できるものであり、また照射による破損温度の低下を見積ことができる。本検討の結果、「もんじゅ」条件下における被覆管最高温度制限値は966になり、これまでの制限値830の保守性を確認するとともに、この値は冷却能力低下型事象において、被覆管の焼損防止(冷却材沸朕防止)の観点から定められている制限値920を上回り、評価上ナトリウムの沸騰防止の制限値がクリティカルな因子になることが判明し、許容設計限界に係る制限温度の大幅な合理化の可能性を示すことができた。
二瓶 勲*; 青砥 紀身*
PNC TN9410 88-105, 206 Pages, 1988/04
高速原型炉高温構造設計方針材料強度基準等の考えかたを踏まえ、それ以後蓄えられてきた技術や新規材料に関する知見および、解析手法ならびに、設計の合理化の観点から推進されてきた安全論理や設計裕度の見直しなどに基づいて、今後大型化する炉を考慮した「高速増殖炉高温構造設計基準材料強度基準等」の検討を実施した。初年度は、5つのサブ・グループを組織し、各々のS/Gが以下の主要項目について検討をした。(1)第1S/G : Mod.9Cr-1Mo鋼およびその溶接部の高温材料特性の把握と材料強度基準等(昭和61年度暫定)の見直し (2)第2S/G : 改良ステンレス鋼の高温における材料特性の把握 (3)第3S/G : SUS304溶接部の高温における材料特性の把握と評価 (4)第4S/G : 高速原型炉高温構造設計方針材料強度基準等の適用範囲の拡大 (5)第5S/G : クリープ疲労評価法の合理化